浮世絵の経済価値

国芳の作品の値段

国芳の浮世絵の最高額は、サザビーズで落札された約4,000万円で、なかなか手が出る金額ではありません(浮世絵の最高落札額は、歌麿の約1億円)。その一方、国芳の作品は5,000前後は存在すると言われています。浮世絵師としての実質的なキャリアは35年前後なので、年平均で142作。月あたりで11.8枚になります。すなわち、3日に1枚のペースになり、すごい多作です。

それぞれの作品が初版として、100-200部刷られていると推定されるため、現存する数も相当数になります。また、人気作品は、一説には数千部も後摺が擦られていたと言われています。そのため、このように膨大な数の国芳作品が市場に存在しているため、人気がなく状態の良くない作品は、数千円からでも入手可能です。

株式投資と決定的に異なることは、浮世絵はジャンクになる(暴落する)リスクが皆無ということです。すなわち、浮世絵の現存数は必ず減少するため、希少価値が高まります。また、浮世絵に対する評価は、世界的に広がっていることから、その相対な価値は上昇してきています(プレミアム化)。

参考までに、国芳の有名な「むだ書」の画廊での販売価格の変遷を、以下に示します。

  • 1992年:7万円

  • 2009年:20万円

  • 現在:50 – 70万円

このように、20数年間で価格が最大で10倍も上昇しています。

浮世絵の購入ルート

浮世絵の価格は、販売ルートや販売時期により、大きな価格変動があります。これは投資の世界ではPrice fluctuationといい、短期間における市場価格の変動幅が大きいほど、利益確保のチャンスは高まります。

浮世絵を含めた美術品市場には明確な階層が存在しています。最上位は、国際競売会社であるサザビーズ(Sotheby’s、NYSE:BID)やクリスティーズです。その次にランクするのは各国のオークションハウス(例:フランスのTajan、ドイツのLemperts)、そして、美術商(画廊、骨董店など)、最後にヤフオクやeBayのようなネットオークションがあります。

ランク分けは、販売される美術品の値段に明らかに反映されており、サザビーズなどでの取引金額は、同じ作品でも、国内美術品市場価格の約2-5倍。ヤフオクの10-100倍の値段にもなります。

サザビーズに出品される作品は、美術館級の浮世絵のみ、と皆さん思われるかもしれません。しかし、実際には、実例を示してあります、有名美術館の収蔵品でも、初摺、後摺、そして時には復刻版もあり、玉石混交です。実際、落札価格も$500程度から数十億円まで、千差万別です。

なお、有名なオークションハウスはクレジットカードと同じような信用システムとなっており、参加者の入札上限が設定されます。入札履歴を積み重ねることで、入札金額の枠が拡大します。海外のオークションハウスの場合、送料がかなり高額になる場合があり、数万円の浮世絵を落札した場合には、お得感は全然なく、むしろ割高になります。また、トラブル時には英語で対応する必要があり、それなりのハードルがあります。支払いも銀行振込だけのところもあり、敷居が低いとは言えません。

ネットオークションといえばヤフオクですが、ヤフオクにおける浮世絵の落札金額を調査しました。最高金額は100万円を超えていますが、そのような金額の案件は数ヶ月に1回あるかどうかです。50万円を超えることもかなり稀です。大部分は数千円から数万円以内の取引です。

まとめとして、浮世絵の価格は、市場や時期により値段の変動が大きいため、適切な評価能力と忍耐力があるならば、投資案件として魅力があります。